引き寄せる記憶と質感

かつて織物業を営んでいたころの蔵を1997にギャラリーへと改装し、四半世紀が経ちます。この間レンタルスペースとして多くの方に利用され、昨夏新たに改装いたしました。
今後も「もの」「こと」をクリエイトする人たちに開かれたレンタルスペースとしての役割はそのままに、そしてその時々に大切だと思う事柄に焦点をあて、様々な企画を展開していく予定です。
今回は、現代アート展の第一弾として３名の作家による展覧会を開催いたします。


やわやわとしたものが息づく場　ふれる目、みる手を解きほぐす

本展はリニューアル後初の企画展として、質感と記憶をテーマに、陶作家の植田佳奈、美術家の夏目とも子、嘉春佳、
そしてあなたと〈つくる〉展覧会です。

上滑りする知識や言葉の前に何があるのか。自分の感覚器官を開いて委ねて身がさねする。
脈打つという身体的感受性は、青白く光る液晶で踊る指先に何を示唆するか。

未規定でやわやわとしたもの
粒々の蚊柱みたいな存在
小さいけれど、弱いけれど、そうじゃないもの
いつまでもそこに佇んでいられること
ふれることで知ること
ふれられないから知れること
瞼の奥で感じる色
こぼれたもの、落としたもの
もう無いこと

現代美術にまつわる様々な踏まえるべき文脈を問う前に、私たちは何の前に立っているのか。難しい言葉は一旦置いて、私やあなたの目の前にある“作品” について、言葉を交わしたい。